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2022-03-07

シーズニングは間違い!?スキレットの【正しい育て方】を徹底解説!

いくら使っても目玉焼きが滑るようにはならない!でも、しっかり油を加熱してから調理に入ると、まぁそれなりに普通に使える。『ブラックポッド化は時間をかけるものなのだろう』と思い、特に気にせず毎回丁寧にシーズニング作業を行なっていた…。が、いつまで経っても育ってくれない!!

実はこれ、スキレットを育てるという目的としては根本的なところが間違っていたのです。これでは何年使っても変わりません。シーズニングのおかげで毎回リセットされていたわけですから。

育てるための工程はシーズニングと基本的には同じなのですがオリーブオイルでは育ちません。家庭にあるサラダ油でなどで十分育てられます

この違いを知ったおかげで、10年以上経った今もスキレットやダッチオーブンはずっと使い続けています。とはいえ、特に難しい事はありません。理屈さえわかってしまえば、1日でくっつかないスキレットに仕上げることもできますよ!

今回は、10年以上鋳鉄器具を愛用してきたキャンパーが、その理由を一つ一つ解説していきます。

シーズニングとは

購入後の準備として行うシーズニング。無垢の鉄を油膜で保護するために行います。

  1. 全体を洗浄し、防さび剤を除去
  2. 加熱乾燥させ、オリーブオイルを塗る
  3. 煙が出なくなる程度まで加熱
  4. 手で持てる程度に自然冷却
  5. 2〜4を数回繰り返す

鋳物製品は金属が剥き出しの状態で、空気に触れるだけで1時間程度で錆びてきますので、製品として販売するときは防さび剤を全体に塗布しています。その為、新品から使用する際は、一度リセットして食用油で防錆加工としてコーティングしなければなりません。

この工程は、鋳鉄製の製品には必要なメンテナンスですが、これが育て方として認知されているのは実は間違いなんです。このやり方ではいつまで経っても育ちません

洗剤は使用してもいい?

さて、シーズニングを終えたら、自宅やキャンプなどで調理器具としてデビューします。調理に使用した後は、本体の熱に気をつけて油汚れなどを洗い流すのですが、鋳鉄製品特有の注意点がいくつかあります。

  • お湯で油分を洗い流す
  • 洗うときは金属たわしを使わない
  • 最後に改めてシーズニング作業

シーズニングは表面にオリーブオイルを塗っているだけなので、お湯でも流れてしまいます。当然、洗剤を使えば綺麗さっぱり無くなります。ですので、片付ける時は再度シーズニングを施す必要があるのです。

この時、洗うときに洗剤は使用しないということを聞いたことがある方も多いと思いますが 、正しく育てられたものは、洗剤で洗ってもタワシで擦ってもびくともしない器具に仕上がります。

油ならし・油がえし・シーズニング

まず、この3つの単語の違いはご存知でしょうか?

油ならし:フライパンや鍋などの鉄製品に油をなじませ、表面に油膜を作ること

油がえし:食材の焦げ付きを防ぐために調理前に油をなじませること

読んでいただければすぐにイメージできるかと思います。

油ならし = シーズニングのこと

油がえし = 料理の時に、加熱したフライパンや鍋に食材を入れる前に油を入れること

「いつもやってることじゃん」

「それくらいはわかってる」

と、感じる方もいらっしゃると思いますが、ここで伝えたいことは、オリーブオイルの油膜は定着しないということ。工程はそのままでいいのですが、育てるためにはオリーブオイルではダメなんです。

オリーブオイルの性質

シーズニングは、油を表面上になじませるための工程となります。 一般的に認知されよく使われるオリーブオイルですが、実はいくら使用しても定着することはなく、これだけで育てることはほぼできません

スキレットやダッチオーブンを好んで使われる方は『ブラックポッド化』を夢見て使われている方も多いと思います。(自分もそうです)

オリーブオイルは乾きにくい性質で表面のコーティングを維持できるので鋳鉄製品の錆びつき防止になる。 という認識が広がったことで、いつも使用する時の儀式となったわけですね。

しかし、オリーブオイルは酸化しにくいというだけで、紫外線による劣化はしますし、ちゃんと酸化も進んでいきます。

『しっかり洗ってシーズニングしておいたからいいや〜』なんて事でそのまま調理に使用したら、劣化したオリーブオイルのせいで料理が台無しになります。 自分の経験上でも、変な臭いを感じたことは何度もあります。

そんな経験があると、また使用前に一度洗って、油がえしをして料理、使用後は温度に気を付けて洗剤を使わず・・・ 云々カンヌン。

と、この工程が好きな人は、面倒こそ育てているという感覚でいるので気にしないと思いますが、こういうことを聞くと『面倒臭いから嫌い』という人が出てきて当然だと思います。いや、めんどくさいです(笑)

それよりも、正しく育てていればそんなこと気にすることもないのです。

数十年経っても錆びない

僕は鋳鉄製品が好きで、アメリカ1900年台に存在した、グリスウォルドワグナーウェアのスキレットを複数所有しています。よく使い込まれているものも多く、それこそブラックポッド化したものが多く存在します。

現在はほとんどやられていませんが、その当時は、フライパンの調理面の表面を研磨し、ツルツルの状態で製品化することが主流でした。 実際に使用してみると、滑らかな表面で非常に使い心地の良いスキレットです。( ただし、特殊なコーティングではないので使用前の油がえしは必要。)

これらは、使わなくなってどこかにしまっておいたいらないものを送ってきているものです。 100年くらい前の製品で、使わなくなってから何十年経っているのかはわかりません。

ですが、アメリカから送られて来た時はホコリくらいはついていても、油がついてヌルヌルしていたなんてことは一度もありません。その上、調理面(内側)は、錆びた状態のものは経験上ありません。 あっても持ち手部分か火に当たる底部分くらいです。

育てる=ポリマー化

では、シーズニングされていないのに錆びていないというのはどういうことでしょうか?

すでに、youtubeなどでも新しい正しい認識として動画が散見されますが 、育てるのに必要なことはポリマー化(重合すること)です。

”重合体(じゅうごうたい)またはポリマー(英: polymer)とは、複数のモノマー(単量体)が重合する(結合して鎖状や網状になる)ことによってできた化合物のこと。

引用:Wikipedia

このことが、育てることとどう関係するのかというと、シーズニングの認識である「オリーブオイルで表面をコーティングすることで酸化(サビ付き)を防ぐ」という考え自体は合ってはいます。ですが、オリーブオイルは非常にポリマー化しにくい油であり、これがオリーブオイルのシーズニングでは育てられない(育ちにくい)という理由なのです。

ヨウ素価と乾性油

ポリマー化にはヨウ素価が大きく関わってきます。

不乾性油という単語を見たことがありますか? 読んで字のごとく、乾きにくい油という意味なのですが、逆に乾きやすい乾性油というものもあります。これは、オピネルのカスタマイズしたことがある方は聞いたことがあると思います。

油の乾燥に関する性質を表す言葉になるのですが、ここにヨウ素価という値が関わってきます。

ヨウ素価の値が大きい方から下記のようになります。

乾性油(130以上)

半乾性油(100~130)

不乾性油(100以下)

Timeless Edition様サイトにてヨウ素価一覧を見ることができます。市販で購入できる油もありますので、気になる方はご覧になってみてください。

オリーブオイルを参照するとヨウ素価84ですので不乾性油となっています。 亜麻仁油はヨウ素価190乾性油になります。この乾く性質を固化といい、空気と触れることで酸化して固まっていく化学反応で、これは光や熱を加えることで促進されます。これでポリマー化した層ができ、表面をコーティングすることができるというわけです。

つまり、目玉焼きをするすると滑らせるように焼き、錆びつき防止のコーティングをし、使い勝手の良い器具に育てていくためには、固化する性質の油を使用する必要があるというわけです。

育てるにはいつもの油で良い

実は、普通の菜種油でもコーティングを作っていくことができるんです。

菜種油のヨウ素価は143とあります。「サラダ油」や「〜油」など製品の名前は様々でも原材料には菜種油と記載があります。ですが「ヘルシー」とか「コレステロール〇〇」のような名前の製品には、別の油が混ぜていることもあり、この場合はヨウ素価が下がるのですが、それでもおおよそ95~105くらいとも言われています。

混ぜ合わせた油がヨウ素価の低い油であったりした場合は、仕上がりに差が出ることもありますが、不乾性油と半乾性油の境目あたりの数値であれば、熱を加えて反応を促進することで固化させることができるので問題ありません。実際に僕はそれでやりました。

とはいえ『ヨウ素価の数値が高ければ固化しやすい』と単純に考えるのも違います。自然に乾燥することと、熱を加えて変化させることとは、別の化学反応だからです。固化させるには熱を加えて加熱重合させる必要があります。

それでは、固化に必要な油がわかったところであとは作業をしていくだけなのですが、加熱にも一つ大事なポイントがあります。

野菜炒めで温度管理

気をつけなければならないことは、煙が出なくなる程度に加熱するという工程。
早く終わらせようと、超強火・直火(直接塗った面を燃やす)などのやり方は厳禁です。

おおよそ250℃くらいを維持したままで、煙が出なくなるまで加熱することが重要です。この時、火力が強すぎると固化した油が割れてしまい、綺麗にコーティングされなかったりムラが出たりします。非接触温度計があれば温度を見ながら管理できますが、中火程度でフライパンを都度動かして面倒を見ているくらいで大丈夫です。

理想のやり方はクズ野菜を炒めることです。シーズニングの工程の一つとして「鉄臭さや油臭さなどを取り去るため」という認識があると思いますが、実はこれがまさしく250℃くらいで加熱し続けている状態になっているんです。これを繰り返すことにより、表面に固化した層が出来上がっていき、何層も重ねることにより強固なコーティング面が完成します。

これは、たわしで擦っても全く取れることもないですし、洗剤を使ってガシガシ洗っても取れない頑丈なコーティングです。


このポリマー化したコーティングができれば、普段のフライパンと同じようにガンガン使えるようになります。もちろんコーティングされていないところがあれば、そこはサビ付き始めるので、全体的に綺麗に仕上げるように気をつけてください。

ちなみに、これはスキレットやダッチオーブンに限ったことではなく、あくまでも油の性質を利用したことなので、他のどんなものにでも施すことができます。使い倒したテフロンのフライパンを再利用し、あえてテフロンを全て剥がしたフライパンにこのコーティングを施して復活させる人もいます。

僕は、お気に入りのフライパンにコーティングして自炊するときに使っています。おかげで相当使い勝手が良くなりました♪

まとめ

さて、ここまでお読みいただいて気がついたことはありませんか?育て方というのは、実は普通に料理で使うことだったんです。というわけで、改めて育てる工程を見てみましょう。

加熱:食材をフライパンに入れる前に油を敷く(油がえし)

温度管理:炒める・焼くなど普通に料理する。

冷ます:調理を終えたらそのまま放置して冷まします。

洗う:お湯でタレなどの汚れを洗い流して、火にかけて乾燥させて完了。

コーティングを意識して先に仕上げてしまう事ももちろんできますし、その方がより早く使いやすくなるのでキャンプ料理が楽しくなります。 この一連のポイントさえ覚えていれば、買ってすぐにスキレットを仕上げることはできます。

それよりも、キャンプに限らずいつも使ってあげて、相棒として永く使っていくという付き合いの方が、より愛着が湧いてきませんか?この方が良い育ち方をするような気がしますね!

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