キャンプ » キャンプギア
2022-03-07

【メンテナンス】え?シーズニング間違ってた!?:オイルの選び方と使い方

スキレットやダッチオーブンの育て方。オリーブオイルは実は違う??

キャンプで好んで使用されるスキレットやダッチオーブン

購入後の準備として行う”シーズニング

  • 洗剤で全体をゴシゴシ洗って、全体に塗ってある防さび剤を除去
  • 水分を乾燥させたらオリーブオイルを薄く塗る
  • 加熱を続け、煙が出なくなる程度に加熱し、下ろして冷ます(←数回繰り返す)
この工程は、鋳鉄製の製品に必要なメンテナンス方法なのですが、これが「育て方」として認知されているのは実は間違いなんです。
今回は、スキレットやダッチオーブンに限らず他の調理器具にも通ずる『正しい育て方』についてご紹介します!

そもそも”シーズニング”ってなに?

シーズニングという概念や言葉そのものは、すでに広く浸透している事でご存知の方も多数いらっしゃいます。

鋳物製品は金属が剥き出しの状態で、空気に触れるだけで錆びてしまいますので、製品として販売するときは防さび剤を全体に塗布してあります。
その為購入後使用する際は、一度洗浄することでリセットして食用油でコーティングをする。

という事ですね。

使用後もシーズニング作業・・・?

使用前の"儀式"を終えたら、自宅やキャンプなどで調理器具としてデビューします。
調理に使用した後は、本体の熱に気をつけて油汚れなどを洗い流すのですが、洗剤を使用せずお湯で大体の油分を洗い流した後は、金属のものは避けて亀の子たわしなどを使用して洗う。
洗い終わったら、水分を飛ばしまた改めてシーズニング作業。

という流れですね。

この”洗剤は使用しない”ということを聞いたことがある方も多いと思いますが
これこそが間違った育て方によるものなんです。

「油ならし」と「油がえし」と「シーズニング」

この3つの単語の違いはご存知でしょうか?



・油ならし:フライパンや鍋などの鉄製品に油をなじませ、表面に”油膜”を作ること
油がえし:食材の焦げ付きを防ぐために調理前に油をなじませること


読んでいただければすぐにイメージできるかと思います。


・油ならし = シーズニングのこと油がえし = 料理の時に、加熱したフライパンや鍋に、食材を入れる前に油を入れること


となります。

メンテナンスにはオリーブオイルが常識?

シーズニングは前項にあるように、油をなじませるための工程となります。
一般的に認知されているオリーブオイルですが、実はいくら使用してもこれだけで育てることはほぼできません。

スキレットやダッチオーブンを好んで使われる方は『ブラックポッド化』を夢見て使われている方も多いと思います。(自分もそうです)

オリーブオイルは、乾きにくく表面のコーティングを維持できるので鋳鉄製品の錆びつき防止になる。
という意味合いで認識が広がったことで、使用する度の儀式(メンテナンス)となったわけですね。


しかし、オリーブオイルは”酸化しにくい”というだけで、紫外線による劣化はしていきます。
次に使用する際に『前回、しっかり洗ってシーズニングしておいたからいいや〜』なんて事でそのまま調理に使用したら、劣化したオリーブオイルのせいで料理が台無しになります。
自分の経験上でも、気にならない程度でも僅かな臭いは感じたことが何度もあります。

そうなれば、使用前に一度洗ってから、油がえしをして料理、使用後は温度に気を付けて洗剤を使わず・・・

好きな人はその面倒こそ育てているという感覚でいるので気にしないと思いますが
そりゃ〜『面倒臭いから嫌い』という人もいて当然です。


というか、そもそもしっかり正しく育てていれば、実はそんなこと気にすることもないのです。

どうしたら育てられる?

そもそも、スキレットやダッチオーブンを育てるというのは、ここまでに記載している内容とは全く別のところにあります。

僕は鋳鉄製品が好きで、アメリカ1900年台に存在した『グリスウォルド』や『ワグナーウェア』のスキレットを複数所有しています。よく使い込まれているものも多く、それこそブラックポッド化したものが多く存在します。

現在はほとんどやられていませんが、その当時は、フライパンの調理面の表面を研磨してツルツルの状態で製品化することが主流でした。
実際に使用してみると滑らかで非常に使い心地の良いスキレットです。


*ただし、ダイヤモンドコート・マーブルコート・テフロンなどの特殊なコーティングとは違うので、使用する前には油がえしは必要です。

使わなくなり、どこかにしまっておいたいらないものをこちらに送ってきているものです。
100年くらい前のものですから、アメリカから送られてくる際は当然ホコリくらいはついていますが、油がついてヌルヌルしていたなんてことは一度もありません。その上、調理面(内側)は、錆びた状態のものは経験上ほとんどありません。



では、シーズニングされていないのに錆びていないというのはどういうことでしょうか?


すでに、youtubeなどでも新しい正しい認識として動画が散見されますが
育てるのに必要なことはポリマー化(重合すること)になります。

”重合体(じゅうごうたい)またはポリマー(英: polymer)とは、複数のモノマー(単量体)が重合する(結合して鎖状や網状になる)ことによってできた化合物のこと。

引用元:Wikipedia”

複数のものが変化して一つになるということです。
このことが、育てることとどう関係するのかというと

オリーブオイルを塗り表面をコーティングすることで酸化(サビ付き)を防ぐ。という考え自体は合ってはいるのですが、オリーブオイルは、非常にポリマー化しにくい油なのです。


これが、オリーブオイルのシーズニングで育てられない(育ちにくい)ということになります。

使いやすい調理器具に育てるには!?

ポリマー化に必要な”ヨウ素価”という言葉があります。

オリーブオイルでシーズニングをする。ということをネット上の情報で覚えた方は
”不乾性油”という単語をおそらく見たことがあると思います。
読んで字のごとく、乾きにくい油という意味なのですが、この逆の性質もありそれを”乾性油”と言います。
これは、オピネルのナイフをカスタマイズしたことがある方は聞いたことがあると思います。

油の乾燥に関する性質を表す言葉になるのですが、ここにこのヨウ素価という値が関わっており
ヨウ素価の値が大きい方から 

乾性油(130以上) > 半乾性油(100~130) > 不乾性油(100以下) となります。

オリーブオイルはこのヨウ素価が84ですので不乾性油となります。

オピネルの持ち手部分の木のパーツを、防腐加工するために使う油として市販でも手に入れやすい(ちょっと高価ですが)亜麻仁油はヨウ素価190ですので乾性油になります。
確かに、1日干しておくとサラサラに乾いてますよね。


そして、この乾く性質を”固化”といい、空気と触れることで酸化して固まっていく化学反応です。
この乾性油の固化は、光や熱を加えることで促進されます。
これでポリマー化した層ができ、表面をコーティングすることができるというわけです。


つまり

目玉焼きをするすると滑らせるように焼き、錆びつき防止のコーティングをし、使い勝手の良い器具に育てていくためには、固化する性質の油を使用する必要があるということです。

育てていこう♪

それでは早速材料の用意を!!

・・・という気合はいりません。



実は、普通のサラダ油(菜種油)でもコーティングを作っていくことができるんです。

菜種油のヨウ素価は95~105
不乾性油と半乾性油のちょうど境目あたりなのですが、前項に記述したように

固化の反応は熱を加えることで促進されるので大丈夫です。

一般的には「サラダ油」という名前で販売されていますが
当然、サラダという植物は無く原材料に使われているのは菜種油が多いです。

「ヘルシー」とか「コレステロール〇〇」のような製品は別の油が混ぜていることもあり
混ぜ合わせた油がヨウ素価の低い油であったりした場合は仕上がりに差が出ることもあります。


やり方は、ご存知の通りです。

1、キッチンペーパーなどでなるべく薄く塗り広げる
2、煙が出なくなる程度に加熱する
3、火から下ろして冷ます
4、2〜3を数回繰り返す

となります。


温度管理が重要!!!

ただ、気をつけなければならないことが1つあります。
2番の煙が出なくなる程度に加熱するという工程なのですが
早く終わらせようとして、超強火・範囲の狭いバーナー・直火(直接塗った面を燃やす)などは厳禁です。

おおよそ250℃くらいを維持したままで、煙が出なくなるまで加熱することが重要です。
火力が強すぎると、固化した油が割れてしまい綺麗にコーティングされなかったりムラが出たりします。

範囲の狭いバーナーも同様です。

非接触温度計があれば温度を見ながら管理できますが
そこまでしなくても、中火程度でフライパンを都度動かして面倒を見ているくらいで大丈夫です。
1番の理想のやり方はクズ野菜を炒めるやり方です。

よく、シーズニングの工程の一つとして”鉄臭さや油臭さなどを取り去るためにやる”という認識があると思いますが
実は、この野菜を炒めるというやり方がまさしく250℃くらいで加熱し続けている状態になるんです。

これを繰り返すことにより、表面に固化した層が出来上がっていき、何層も重ねることにより強固なコーティング面が完成します。

これは、たわしで擦っても全く取れることもないですし、洗剤を使ってガシガシ洗っても取れないので
普段のフライパンと同じようにガンガン使えるようになります。
もちろんコーティングされていなければ、そこはサビ付き始めるので

全体的に綺麗に仕上げるように気をつけてください。

ちなみに、これはスキレットやダッチオーブンに限ったことではなく
あくまでも油の性質を利用したことなので、他のどんなものにでも施すことができます。
使い倒したテフロンのフライパンを再利用し、あえてテフロンを全て剥がして

アルミ剥き出しのフライパンにこのコーティングを施し、使えるようにした。

なんて人もいます。

僕は、ビタクラフトのお気に入りのフライパンにコーティングして自炊するときに使っています。
相当使い勝手が良くなりました♪

まとめ

さて、ここまでお読みいただいて気がついたことはありませんか?

そうなんです。育て方というのは実は・・・

【普通に料理で使うこと】

だったんです。


前項に”250℃程度で加熱するというのは、クズ野菜を炒めている時がちょうどそのくらいの温度になっている”という風に書きました。

これは要するに『普通に野菜炒め作ってる時のことじゃん!』っていうことなんですよ。

食材をフライパンに入れる前に油を敷く油がえしという工程も、普通に料理するときにやりますよね。
そしてその時点でよく加熱してます。
食材を入れて調理して、お皿に盛り付けたらそのまま放置して冷まします。
触れるくらいに冷めたら、お湯でタレなどの汚れを洗い流して、火にかけて完了。


実は、普段通り使っていくことが”育てる”ということにつながっていたのです。

もちろん、コーティングを意識して先に仕上げてしまう事もできるし、その方がより使いやすくなって料理が楽しくなります。でも、いくらコーティングがなされているとはいえ、無加工の調理器具はどうやったって調理前の油がえしは必須工程です。


相棒として永く使っていくという付き合いの方が
より愛着が湧き、結果として良い育ち方をするような気がしますね。


それでは^ー^)ノシ

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。